
角川文庫版『千羽鶴』。
母が学生時代に購入した本で、奥付と見ると昭和43年11月とあります。28版。
定価は90円。これは当時の物価では、どんな感じなのかしらん。
この年の10月に川端康成がノーベル文学賞を受賞した記念として、新たな帯が巻かれ
店頭に並んだもののようです。
「亡父の愛人栗本ちか子の茶会に招かれた菊治は、太田未亡人とその娘文子に四年ぶりに再会する。太田夫人も父の愛人の一人で、菊治をめぐって女性たちとの関係が、茶道の幽趣沈静な雰囲気を縫って展開する・・・」
高校時代、国語総覧に書かれていたあらすじを読んで興味を持ち初めてこの本を私が手にしたときは、
まだ文庫に茶色くなったハトロン紙のようなカバーがついていました。
(岩○文庫が最後までこのカバーでしたよね)
母は、この小説1ページ目で挫折してしまったそうで。
だからカバーも残って綺麗なまんまだったんですねえ(笑)
ところが娘の私は、この話にすっかり魅了されてしまい、愛して愛してちっとも飽きず、
ついに嫁にも持ってきてしまいました。
ハトロン紙のような紙カバーはどこかへ消えてしまいましたけど・・。
挿絵がついてます
なんとも言えない魅力のある太田夫人、やわらかくはかない夢のような、
愚かかもしれないが可愛くて不思議な女。
フォーレの「夢のあとに」なんか耳の奥で聞こえてきそうな、そんな色白で首が長めの着物美人。
映画では69年に若尾文子さんが演じてらっしゃるそうで、若尾さんの夫人はどんなにか素晴らしいだろうと溜息が出そうなのですけど、なぜか好きすぎて映像でなくどこまでも文章で酔っていたいなあと思ってしまうんでした。
志野の湯呑みも、映像で見てしまっては何かが壊れてしまいそう・・・
触れたいのに触れられない、摑み取れそうで取れない、そんなはっきりしない何かが漂う作品なので・・
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