Dark Matter(邦題:アフター・ザ・レイン)
2010.02.09 Tuesday

『Dark Matter』 2007年 アメリカ
リウ君とメリル・ストリープ、エイダン・クインが共演というので楽しみにしていた作品。
ようやく借りることができました。初見。
で。
うーん、これは辛いわあ。
大学というある種特殊な研究機関にはこんなことは意外に多いだろうから。
アメリカで実際に起こった事件をもとにしているそうですが、実に痛々しい。
なぜ彼はもっとうまく立ち回れなかったのか。
カルチャーショックもあったようですけど、大学だもの。
教授の不興を買ったら未来が困難なのはどこの国も同じはず。
でも、あまりに純粋に熱心に教授を尊敬し信頼し、研究にいそしむばかりの彼は
腹黒く自分の立ち位置をキープすることまで頭が回らなかったのね。
学位だけもらってあとは自分で自分の研究のためだけに逆に何者かを利用する、
最大限にコネを使う、そういう視点の変え方だってあったろうに。
「ローレンス」(だったかしらん?)と名前を変えて教授の手足となり西欧世界に溶け込んで見せることは決して誇りを失った生き方ではなく、あくまでも戦術なのだ、となぜわからなかったか。
お人よしの好青年は、指導教授のダークさと器の小ささにショックを受け
最終的には必要以上に挫折感、失望を味わい、必要以上に自分を追い詰めてしまった。
ましてや留学生の身、言葉や文化の壁、
どうしたって無意識の差別意識にさらされずにはおれない。孤独だ。
ライバルが同国人だったのも焦燥感をあおる大きな一因だったに違いない。
親の期待もある。プライドはずたずただ。
素晴らしい研究者は人格者か?人格者だから教授になれるのか?
否。まずは政治力と運だ。なんてきっと考えたこともなかったのよね。あーあ(T_T)
超優秀な青年を、その優秀さに脅威を覚えたからこそ潰しにかかった教授の罪は重い。
同じ西洋人でないからこその嫉妬と嫌悪もアホである。
でも、そういうもんなんだ、現実は。と、ここは怒りをおさえてしたたかにいってほしかった。
中国人留学生仲間の友情や、ボランティア女性(メリル)の愛情、賢い秘書の女性のそれとないサポートも残念ながら彼を暗い世界から元居た明るい場所へ引き戻してやることができなかったという無情さ。
メリルとのシーンもものすごくうまかったけれど、むしろグッときたのは
落ち込み打ちひしがれている彼に、友人が「散髪してやるよ」というシーンでした。
リウを心配しながら、気分転換になればいいんだがなーという感じで鋏を入れる友人と、
されるがまま黙って涙を流しているリウ。
う・・・(T_T)
なにしろリウ君なので、そりゃあもう気の毒で気の毒で見ていられないのです。うまいだけに。
天真爛漫な前半のリウ君には自然に笑みを誘われ、後半では胃が痛くなる辛さを味わうことになりました。
それと、妙にメリルの資産家の夫が気になったなー。
もう留学生につきあうのは疲れたよ・・という彼。
彼は金銭面などでずっと留学生支援をしているようなのですが、(ほとんどメリルのため)
どうしても妻のようには留学生たちと打ち解けられず、彼らを理解したいけれども無理、
もうすっかり疲れてしまった、と言うのです。これもまた本当だろうと。
同じ留学生でも色々な考え方や立場の人間がいる、という描き方も含めて興味深かったです。
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